天文楽のすすめ
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4章 星座について

4.1 日本人と星空

4.1.1 ちょっと小話

★第1話
 ある子供がもの干竿をもって空に向かって何か一生懸命やっていました。
 そこへその子供のおとっつあんがやってきて、
 「おい、もの干竿なんか振り回していったい何をやっているんだい?」
 「うん、おとっつあん。お空のお星様を取ろうとしてるんだよ。」
 「馬鹿だな。そんなに低いところじゃ駄目だよ。屋根の上でやんないと。」
 横で聞いていた町内のご隠居さんが、
 「これこれ。あれは雨の降る穴だ。つついちゃ駄目だよ。」


★第2話
 普段から足の早さを自慢していた八っあん。
 ある日、友達に
 「八つあんとお天道さん。どっちの足が速いのかな?」と言われて、
 「もちろんおれに決まってら!」
と、お天道さんとかけっこをすることになりました。
 次の日、八っあんは日の出とともに一目散に西に向かって駆け出しました。
 初めのうちお天道さんは、八っあんの後ろにいたけれど、だんだん追い抜いていきました。
 そして夕方になって西の空に沈んで行こうとしています。
 「ちくしょう、まちやがれ、ひきょうもの!」
 叫んでみても仕方がないけど。
 それでも八っあんは夜通し走りました。
 そして、夜が明けてきて、東の空からお天道さんがのぼり始めました。
 それをみた八っあん、
 「知らない間にお天道さんを追いぬいちまった!」

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4.2 古典に見る星空

 日本の古典をひもといてみましょう。

4.2.1 枕草子
清小納言は『枕草子』のなかで星の事について色々と語っています。

(1)第1段
 春はあけぼの。やうやうしろくなり行く。山ぎわすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。
 夏はよる。月の頃はさらなり、やみもなほ、ほたるの多く飛びちがいたる。また、ただひとつふたつなど、ほのかにうちひかりて行くもをかし。雨などふるもをかし。
 秋は夕暮れ。夕日のさして山のはいとちかうなりたるに、からすのねどころへ行くとて、みつよつ、ふたつみつなどとびいそぐさへあはれなり。まいて雁などのつらねたるが、いとちひさくみゆるはいとおかし。日入りはてて、風の音むしのねなど、はたいふべきにあらず。
 冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず、霜のいとしろきも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこしても、炭もてわたるもいとつきづきし。晝になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火もしろき灰がちになりてわろし。」

(2)第10段
 正月一日、三月三日は、いとうららかなる。
 七月七日は、くもりくらして、夕がたは晴れたる空に、月いとあかく、星の数もみえたる。
 九月九日は、あかつきがたより雨すこしふりて、菊の露もこちたくおほいたる綿などもいたくぬれ、うつしの香ももてはやされて、つとめてはやみにたれど、なほくもりて、ややもせばふりおちぬべくみえたるもをかし。

(3)第153段
 名おそろしきもの あをふち。たにのほら。はたいた。くろがね。つちくれ。いかづちは名のみにもあらず、いみじうおそろし。はやち。ふさう雲。ほこぼし。ひぢかさ雨。あらのら。

(4)第252段
 日は 入り日。入りはてぬる山の端に、光なほとまりて赤う見ゆるに、薄黄ばみたる雲のたなびきわたりたる、いとあはれなり。

(5)第253段
 月は 有明の、東の山ぎはにほそく出づるほど、いとあはれなり。

(6)第254段
 星は すばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。尾だになからましかば、まいて。

4.2.2 日本書紀

 『日本書紀』の中に日本で最も古い日食の記録がされています。
 推古三十六年三月二日(西暦628年4月10日)の記録に、
 三月の丁未の朔戊申、日、蝕(は)え盡(つ)きたること有り。
 その他に、推古二十八年に彗星が現れた記録があります。

4.2.3 建礼門院右京太夫集

 源平争乱の時代の女流歌人、建礼門院右京太夫が夜半の星空の美しさを歌った一首がある。
 十二月一日ごろなりしやらむ、夜に入りて、雨とも雪ともなくうち散りて、むら雲さわがしく、ひとへに曇りはてぬものから、むらむら星うちきへしたり。ひきかずき臥したるきぬを、ふけぬるほど、うし二つばかりにやと思ふほどに、ひきのけて空をみあげたれば、ことに晴れてあさぎ色なるに、光ことことごとしき星の、大きなるが、むらもなく出でたる、なのめならず面白く、縹の紙に、箔をうち散らしたるよう似たり。こよひ、はじめて見そめたる心地す。さきざきも星月夜見馴れたることなれど、これは折りからにや、ことなる心地するにつけても、ただ物のみおぼゆ。
 月をこそ眺めなれしか星の夜の深きあはれは今宵知りぬる

 これは、木星と土星の会合ではないかとされています。

4.2.4 月についての古典

(1)小倉百人一首
 『小倉百人一首』の中には月が詠まれている歌がかなりあります。
 その中から拾い集めてみました。

 ★秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月のかげのさやけさ 左京大夫顕輔
 ★朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪 坂上是則
 ★天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも 安倍仲麿
 ★今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな 素性法師
 ★心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな 三条院
 ★月見ればちぢに物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど 大江千里
 ★なげけとて月やは物を思はするかこち顔なるわが涙かな 西行法師
 ★夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらむ 清原深養父
 ★ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる 後徳大寺左大臣
 ★めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に雲がくれにし夜半の月かな 紫式部
 ★やすらはで寝なましものを小夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな 赤染衛門

(2) 源氏物語
 紫式部の『源氏物語』の中ではというと、
 「夕顔の巻き」で
 『八月十五夜くまなき月かげ、ひま多かる板屋のこりなく漏り来て、見習い給はぬ住居のさまもめずらしきに、暁近くなりにへるなるべし
 山の端のこころもしらで行く月はうはの空にてかげや絶へなむ』
 「若葉の巻き」では
 『秋の夜のくまなき月に萬のものとどこほりなきに琴笛の音もあきらかに返りある心地はしはべれど、なほのことさらに作り合はせたるようなる空の気色…』
 と、望月の明るい光を描いています。

(3) 堤中納言物語
 「はいずみ」という作品の中に、
 『月の明きに泣くことかぎりなし、我身かくかけはなれんと思ひきや月だにやどをすみはつる世に…男うちおどろきて月もやうやう山の端近くなりにたり。怪しく遅くかへるものかな。遠きところへゆきけるに、こそと思ふもいとあはれなれば、住みなれし宿を見すててゆく月の影におほせて恋ふるわざかな。』
 と、月の位置で時のたつのを知った証拠となる文章です。

(4)栄花物語
 「玉の台」という一節に有明の月のことが描かれています。
 『南の大門より入りて参れば八月二十余日のほどにて明の月のすみのぼりたるいみじうめでたく見ゆればかの霊鷲山の暁の空も思ひやられたり。また池の鏡のやうなるに影をとどめたる月もいみじうめでたく見ゆれば、
 うらやましかばかりすめる池水にかげならべたる有明の月
 おほそらと地の水とにかよいすむ有明の月も西にこそゆけ』

(5)徒然草
 『望月のくまなきを千里の外までながめたるよりも、暁ちかくなりて、待ち出たるがいと心わこう青みたるようにて、わかき山の杉のこずえに見へたる木のまの影、うちしぐれたるむら雲がくれのほどまたなくあはれなり…
…秋の月はかぎりなくめでたきものなり。いつとて月はかくこそあれとて思ひわかざらん人々は無下に心うかるべきことなり…。
…8月十五日、九月十三日は婁宿なり。この宿清明あんるゆえに月をもてあそぶに良夜とす。』

(6)万葉集
 万葉集の中の月にちなんだ歌を集めてみました。
 ★熟田津に船乗りせむと月待てば潮を適ひぬ今は漕ぎ出でな 額田王
 ★わたつみの豊旗雲に入日さし今宵の月夜明らけくこそ
 ★東の野に陽光の立つ見えてかへりみすれば月傾きぬ
 ★大君のみこと畏みにぎびにし家をさかりて隠国の泊瀬の川に船浮けて我がゆく川の川隅の八十隅落ちず万度かへりみしつつたまぼこの道ゆき暮しあをによし寧楽の都の佐保川にい行き至りて我が寝たる衣の上ゆ朝月夜さやかに見ゆれば栲のほに夜の霜降り磐床に川の氷こほりさゆる夜をいこふことなく通ひつつ作れる家に千代までにいさます君とわれも通はむ
 ★あかねさす日は照せれどぬばたまの夜渡る月の隠らく惜しも
 ★昨年見てし秋の月夜はてらせれどあひ見し妹はいや年さかる
 ★ひさかたの天ゆく月を網にさし吾大君は蓋にせり
 ★天の原ふりさけ見ればしらまゆみ張りて懸けたり夜路はよけむ 間人大浦
 ★椋橋の山を高みか夜ごもりに出で来る月の光ともしき
 ★子等が家道ややま遠きをぬばたまの夜渡る月に競ひあへむかも 中納言阿部広庭卿
 ★見えずとも誰恋ひざらめ山の端にいさよふ月をよそに見て 沙弥満誓
 ★世の中は空しきものとあらむとぞ此照る月は盈ち欠けしける 膳部王
 ★旭かげ匂へる山に照る月の飽かざる君を山越に置きて
 ★大伴の見つとは云はじ茜さす照れる月夜に直接に逢へりとも 賀茂女王
 ★月夜よし川の音清しいざここに行くも行かぬも遊びて行かな 防人佑大伴四綱
 ★松の葉に月は移りぬ紅葉の過ぎぬや君が逢はぬ夜多み 池辺王
 ★恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば夜はこもるらむ暫しはあり待て
 ★月読の光に来ませあしびきの山を隔てて遠からなくに 湯原王
 ★月読の光はさやに照せれど惑ふ心は堪へじとぞ思ふ
 ★夕闇は道たづたづし月待ちていませ我が夫子その間にも見む 豊前国処女大宅女
 ★み空行く月の光に只一目相見し人の夢にし見ゆる 安都扉処女
 ★春日山霞たなびき心ぐく照れる月夜に独りかも寝む 坂上家大嬢
 ★月夜には門に出で立ち夕占とひ足う占をぞせし行かまくを欲り 家持
 ★あまごもり三笠の山を高みかも月の出で来ぬ夜はくだちつつ 安倍虫麻呂
 ★雁高の高円山を高みかも出で来る月の遅く照るらむ 大伴坂上郎女
 ★ぬばたまの夜霧の立ちておぼほしく照れる月夜の見れば悲しさ
 ★山の端のささら美壮夫天の原とわたる光見らくしよしも
 ★雲隠るゆくへをなみと我が恋ふる月をや君が見まく欲りする 豊前国処女大宅女
 ★天に在す月読壮夫賄はせむ今宵の長さ五百夜つぎこそ 湯原王
 ★はしきやしま近き里の君来むと大野辺にかも月の照りたる 湯原王
 ★待ちがてに我がする月は妹が著る三笠の山にこもりてありける 藤原八束
 ★月立ちて唯三日月の眉根掻きけ長く恋ひし君に逢へるかも
 ★ふりさけて三日月見れば一人見し人の眉引思ほゆるかも 大伴家持
 ★山の端にいさよふ月の出でむかと我が待つ君が夜はくだちつつ
 ★我が兄子と二人しをれば山高み里には月は照らずともよし 高丘河内
 ★常はかつて思はぬものをこの月の過ぎ隠らまく惜しき宵かも
 ★健男の弓末振り起し雁高の野べさへ清く照る月夜かも
 ★山の端に躊躇ふ月を出でむかと待ちつつ居るに夜ぞ降ちける
 ★明日の夜照らむ月夜は偏寄りに今宵によりて夜長からなむ
 ★玉簾の小簾の間通し独居て見る効験なき夕月夜かも
 ★春日山遍して照らせる此の月は妹が庭にもさやけかりけり
 ★海原の道遠みかも月読の光少き夜は降ちつつ
 ★ももしきの大宮人の罷り出でて遊ぶ今宵の月のさやけさ
 ★ぬばたまの夜渡る月を止めむに西の山辺に関もあらぬかも
 ★この月のここに来たれば今とかも妹が出で立ち待ちつつあらむ
 ★まそかがみ照るべき月を白栲の雲か隠せる天つ霧かも
 ★久方の天照る月は神代にか出でかへるらむ年は経につつ
 ★ぬばたまの夜渡る月をおもしろみ我が居る袖に露ぞおきにける
 ★水底の玉さへ鮮に見ゆべくも照る月夜かも夜の更けぬれば
 ★霜曇りすとにかあらむ久方の夜渡る月の見えなく思へば
 ★山の端に躊躇ふ月を何時とかも我が待ち居らむ夜は更けにつつ
 ★妹が辺我が袖振らむ木の間より出で来る月に雲勿たなびき
 ★靭かくる伴緒広き大伴に国栄えむと月は照るらし
 ★家にして我は恋ひなむ印南野の浅茅が上を照りし月夜は
 ★朝づく日向ひの山に月立たり見ゆ遠妻しもたらむ人は見つつ偲ばむ
 ★春日なる三笠の山に月の船出づみやびをが飲む盃に影に見えつつ
 ★み空ゆく月読壮夫夕さらず目には見れどもよるよしもなし
 ★春日山山高からし岩の上の菅の実見むに月待ち難き
 ★闇の夜は苦しきものを何時しかと我が待つ月も早も照らぬか
 ★朝霜の消やすき命誰が為に千年もがもと我が思はなくに
 ★我が宿に月おし照れり子規心あり今宵来鳴きとよもす 大伴書持
 ★十五日下つ清き月夜に吾妹子に見せむと思ひし宿の橘 大伴家持
 ★夕月夜心もしのに白露の置くこの庭に蟋蟀鳴くも 湯原王
 ★我が家の門田を見むとうち出来し心も験く照る月夜かも 大伴家持
 ★ひさかたの月夜を清み梅の花心開けて我が思へる君 紀少鹿郎女
 ★旅なればよなかをさして照る月の高島山に隠らく惜しも
 ★さ夜中と夜は更けぬらし雁がねの聞ゆる里に月渡る見ゆ 読人知らず
 ★天の原雲なき宵にぬばたまの夜渡る月の入らまく惜しも 読人知らず
 ★照る月を雲な隠しそ島陰にわが船はてむ泊り知らずも
 ★春霞たなびく今日の夕月夜清く照るらむ高円野に
 ★春されば木の木の暮れの夕月夜おぼつかなしも山陰にして
 ★朝霞春日の暮れは木の間よりうつらふ月を何時とか待たむ
 ★春日なる三笠山に月も出でぬかも佐紀山に咲ける桜の花の見ゆべく
 ★我が宿の毛桃の下に月夜さし下心ぐしうたて此頃
 ★月夜よみ鳴く霍公鳥見まく欲り我草とれり見む人もがも
 ★五月山卯の花月夜霍公鳥聞けども飽かに又鳴かぬかも
 ★黄葉する時になるらし月人の桂の枝の色著く見れば
 ★天の海に月の船浮け桂かぢかけて漕ぐ見ゆ月人壮夫
 ★此夜らはさ夜更けぬらし雁がねの聞こゆる空に月立ち渡る
 ★我が夫子がかざしの萩に置く露をさやかに見よと月は照るらし
 ★心なき秋の月夜の物思ふと寝の眠らえぬに照りつつもとな
 ★思はぬにしぐれの雨は降りたれど雨雲晴れて月夜さやけし
 ★萩が花咲きのををりを見よとかも月夜の清き恋ひまさらくに
 ★白露を玉になしたる長月の有明の月夜見れど飽かぬかも
 ★君に恋ひ萎えうらぶれ吾がをれば秋風吹きて月傾ぶきぬ
 ★秋の夜の月かも君は雲隠り暫く見れば甚恋しき
 ★長月に有明の月夜ありつつも君が来まさば吾恋ひめやも
 ★時雨降る明時月夜紐解かず恋しき君とをらましものを
 ★誰が園の梅の花かも久方の清き月夜に甚散り来る
 ★小夜更けば出で来む月を高山の峰の白雪かくすらむかも
 ★泊瀬の斎槻が下に吾が隠せる妻茜さす照れる月夜に人見てむ
 ★月見れば国は同じく山隔り愛し妹は隔りたつかも 読人知らず
 ★雲間よりさ渡る月のおぼほしくあひ見し子らを見むよしもがも
 ★遠妻のふりさけ見つつ偲ぶらむ此の月面に雲な棚引き
 ★吾妹子し吾を思はばまそ鏡照り出る月の影に見え来ね
 ★久方の天照る月の隠れ行く何に準へて妹を偲ばむ
 ★三日月の爽かに見えず雲隠り見まくぞ欲しきうたて此頃
 ★美酒の神籬の山に立つ月の見が欲し君が馬の足音ぞする
 ★さ夜更けて明時月に影見えて鳴く霍公鳥聞けば懐かし
 ★渋谷をさして我が行く此浜に月夜飽きてむ馬暫し止め
 ★秋風の吹き扱き敷ける花の庭清き月夜に見れど飽かぬかも
 ★天地を照らす日月の窮みなくあるべきものを何か思はむ 春宮(淳仁)
 ★うちなびく春を近みかぬばたまの今宵の月夜霞たるらむ 大蔵大輔甘南備伊香
 ★天の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ 人麻呂
 ★落ち激る流るる水の岩に触りとどめる淀に月の影見ゆ
 ★此言を聞きなむとかもまそ鏡照れる月夜も闇にのみ見つ
 ★月夜よみ妹に逢はむと捷径から我は来つれど夜ぞ更けにける
 ★夕月夜明時闇の朝陰に我が身はなりぬ汝思ひかねて
 ★月しあれば明くらむ判別も知らずして寝て吾が来しを人見けむかも
 ★妹が目を見まく惜しけく夕闇の木の葉隠れる月を待つ如
 ★ま袖持ち床打ち掃ひ君待つとをりし間に月傾きぬ
 ★二上に隠らふ月の惜しけれど妹が手本をかるる此頃
 ★吾が夫子が振り離け見つつ嘆くらむ清き月夜に雲な棚引き
 ★まそ鏡清き月夜の移りいなば思ひは止まじ恋ひこそまされ
 ★此夜らの有明月夜ありつつも君をおきては待つ人もなし
 ★此山の峯に近しと我が見つる月の空なる恋ひもするかも
 ★ぬば玉の夜渡る月の移りいなば更にや妹に我が恋ひをらむ
 ★窓越しに月おし照りて足引きのあらし吹く夜は君をしぞ思ふ
 ★かくだにも妹を待ちなむさ夜更けて出で来し月の傾く迄に
 ★木の間より移ろふ月の影を惜しみ立ちもとほるにさ夜更けにけり
 ★足引きの山より出づる月待つと人には言ひて妹待つ我を
 ★夕月夜明時闇の仄かにも見し人故に恋ひ渡るかも
 ★久方の天つみ空に照れる日の失せなむ日こそ我が恋ひ止まめ
 ★望の日に出でにし月の高々に君を在せし何か思はむ
 ★月夜よみ門に出で立ち足占して行く時さへや妹は会はざらむ
 ★ぬば玉の夜渡る月の爽けくはよく見てましを君が姿を
 ★足引きの山の木高み夕月をいつとか君を待つが苦しさ
 ★天橋も長くもがも高山も高くもがも月読の持てる復若水いとり来て君に献りてをち得しむもの
 ★小筑波の嶺ろに月立たし逢ひた従はさはだなりぬをまた寝てむかも
 ★かの子ろと寝ずやなりなむほだ薄うら野の山に月片よるも
 ★月読の光を清み神島の磯曲の浦ゆ舟出す我は
 ★大舟にまかしじ貫き海原を漕ぎ出て渡る月人男
 ★月読の光を清み夕凪ぎに水手の声呼び浦曲漕ぐかも
 ★山の端に月傾けば漁する海人の燈沖にあづさふ
 ★ひさかたの天照る月は見つれども我が思う妹に逢はむ頃かも
 ★ぬば玉の夜渡る月は早も出でぬかも海原の八十島の上ゆ妹が辺見む
 ★久方の月は照りたり暇なく海人のいさりはともしあへり見ゆ
 ★天離る鄙にも月は照れれども妹ぞ遠くは別れ来にける
 ★織女し船乗りすらしまそ鏡清き月夜に雲立ち渡る
 ★ぬば玉の夜は更けぬらし玉櫛笥二上山に月傾きぬ
 ★ぬば玉の月に向ひて霍公鳥鳴く音遥けし里遠みかも
 ★霍公鳥こゆ鳴き渡れ燈を月夜に淮へ其影も見む
 ★ぬば玉の夜渡る月を幾夜経と数みつつ妹は吾待つらむぞ
 ★月見れば同じ国なり山こそは君が辺を隔てたりけれ 大伴古人
 ★足引きの山はなくもが月見れば同じき里を心隔てつ 大伴家持
 ★安川是向ひ立ちて年の恋へ長き子らが妻どひの夜ぞ 大伴家持
 ★雪の上に照れる月夜に梅の花折りて贈らむけしき児もがも

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4.3 ギリシャ神話に見る星空

 申し訳ありません。ただいま作成中です。近日中にupいたします。

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4.4 星座のはなし

 星空をみながら、星と星とを結ぶ線を頭のなかに描いてみてください。いろいろな動物やものの姿が見えてきませんか?
 それが星座の始まりです。
 今から約5000年前、メソポタミア地方のひつじかいたちが、夜ひつじの番をしながら、星空を眺め星座を作ったのが始まるといわれています。
 もちろん、日本や中国、インドでも星座が作られていました。しかし残念なことに現代の星座には残っていません。
 16世紀のヨーロッパに大航海時代(大きな船でどんどん遠くへ出かけていった時代)という頃があります。今まで誰もが行ったことのない南の海まで船で乗り出していったのです。
 そうすると、今までヨーロッパでは見たこともない星たちがそこにあることを発見しました。これはすごいとばかりに天文学者たちは自分勝手にその星空に星座を作り  はじめました。
 このためものすごくたくさんの星座ができてしまい、しゅうしゅうがつかなくなってしまいました。
 そこで1930年に国際天文学連合によって世界共通の星座を、88の星座が決定されました。星座の決定にあたり、星座にギリシャ神話が関係しているものはなるべく残すようにしたそうです。


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