監督:イングマル・ベルイマン
出演:マックス・フォン・シドー
    グンナル・ビョーンストランド
    ニルス・ホッペ
    ビビ・アンデション
■1957年、スウェーデン、92分、モノクロ



 十字軍の騎士アントーニウス(マックス・フォン・シドー)は、とても信心深いのだが、故郷でペストの大流行や魔女狩りの横行などを目撃し、おまけに十字軍で戦いぬいた自分のもとに死神が命を奪いに来たとあって、もはや神の存在を疑わずにいられない。アントーニウスは、勝てば死なずにすむのを条件に、死神にチェスを挑む。死から逃れるためではなく、生きているうちに神の存在を確かめるために。


 死神とチェスをしながら旅をして、勝負がつくまでに神の存在を確かめたいアントーニウス。彼の心を投影するかのように、モノクロ映像の白と黒が、それぞれ希望と絶望の象徴として演出される。善良な大道芸人のミア(ビビ・アンデション)と赤ん坊が着ている白いワンピース、ミアの夫ヨフ(ニルス・ホッペ)が垣間見た聖母マリアは陽光のもとに白く照らされ、あるいはヨフ夫妻がアントーニウスたちに分け与えたミルクの白・・・・・・ 死神とペスト患者の陰気な黒装束や、魔女狩りを執行する役人の黒い制服・・・・・・


 そんな白と黒とのコントラントが、たいへん鮮やかで美しい。とりわけ、白塗りの顔に黒装束という死神のいでたちや、アントーニウスと死神が対決するチェスの駒と盤のように、中間にグレーをはさまず白と黒が直接隣合う配色は、モノクロ映像の中だからこそ鮮烈さが引き立つ。日本語に「白黒をつける」という言い回しがあるように、殺すか殺さないかの死神の思考や、勝つか負けるかのチェスの世界のような、グレーを許さない極論的な価値観までも象徴している。


 まさにそれは、神の存在を探求するアントーニウスの「神は本当にいるのか、いないのか」という焦燥した理解欲が求めるところだ。民衆の惨状を目の当たりにして、彼が納得できる答えは二つにひとつしかない。追いつめられた者には第三の見方を考え出すのは難しいものだ。二極化したアントーニウスの視界を、モノクロ映像が美しく巧みに表現していく。数ある白黒映画の中でも、すぐれて絵画性のある作品だ。


(2004/06/25)


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