建売(売建)住宅、住宅メーカーと設計事務所などとの違い

飲食店に例えると
建売住宅はファーストフードやコンビニ弁当のようなもの
売建住宅は注文を聞いてから作るお弁当屋さんみたいなもの
住宅メーカーは決まったメニューの中から作るファミレスのようなもの
設計事務所や工務店の設計施工は料理人によりそれぞれ違う飲食店のようなもの
の違いがあると思います


種類
特徴
建売住宅

特に建物にこだわりはないが、早く安く家を手に入れたい人にお勧めします。

土地と共に既に完成した建物を買うのが建売住宅です。

広い土地を仕入れたディベロッパー(不動産業者)などがそれを細かく分割して、ついでに建物も建てて買いやすいようにして売る不動産の小売商品のような感じでしょうか。
魚屋さんが市場でマグロを購入して、お造りにして売るのと似ているかもしれません。

時間
物件自体が出来ているので、もちろん早く手に入ると思います。

コスト
似たような建物を大量に造るため、建材の仕入れの値段は安く、売れ残りが出ると赤字になってしまうので、物件自体は買いやすいように比較的安いと思います。

性能
土地を売って利益をあげるのが優先なことが多く、建物は関係のある工務店に安く造ってもらう程度だったりするので、新建材が多用されたような建物だったり、悪い業者の場合は表面はそこそこに、基礎や構造など見えないところで徹底的に手を抜くので、建物のクオリティーが心配です。
また土地も本来住宅地ではなかった畑や工場跡地などの場合も多いので、地盤や災害、環境などに問題がないかの注意も必要です。

デザイン
あまりお金のかかっていない似たような家が立ち並んでしまうのが一般的です。
建売分譲は京都の石塀小路のようないい街並形成も可能だと思うのですが、残念ながらあまりそのような意識を持って作られているところは少ないようです。
工事にお金がかかって売れにくくなるリスクを避けたいのでしょうが、成城や国立などのように大きな木を配置して街並から上手く作れれば、それぞれの建物自体にそれほどお金を掛けなくてもいい雰囲気は出せるでしょうし、結果的に付加価値も付くと思うのですが・・・イメージができるまでに時間がかかって、不経済なのでしょうか。

建売住宅を買う場合は、本当にその建物で豊かな人生がおくれるのかを考え、業者の言うことを鵜呑みにせず、問題がないか自分でいろいろ調べることをお勧めします。

もちろん、構造や耐久性、デザインに気を遣った良心的な業者もいますので、自分で調べたうえで納得できる物件ならお買得かもしれません。

売建住宅
建築条件付

普通の建物でもいいけれど、建物が造られる過程から確認したい人にお勧めします。

ディベロッパーが家を建てて土地と共に売るのが建売住宅で、土地を購入したあとにディベロッパーの指定する業者が家を建てるのが、売建住宅や多くの建築条件付き住宅です。

時間
土地を買ったあとに家を建てるので、普通に時間がかかると思います。

コスト
土地との抱き合わせ商法的な物が多いので、建物自体はそれほど安くないかもしれません。

性能
建売住宅よりは建てている間のチェックがしやすいので、問題は少ないような気がしますが、業者による差が大きいと思います。

デザイン
更地で土地を購入して自分で建てる場合でもディベロッパーと関係のある工務店が施工することが条件であったりするので、多少の間取りや仕様の変更は効くかもしれませんが、細かいところや工法を自由に指定するのは難しいことが多く、比較的建て売り住宅に近いものと考えていいのではないでしょうか。

どのような工務店がどのような工法でどの程度の仕事をするのか、しっかり調べることをお勧めします。

良心的な業者が施工する場合は、これもお買得かもしれません。

住宅メーカー
ハウスメーカー

細かいこだわりはないが、平均的な家や有名なメーカーが造る家に住みたい人にお勧めします。

住宅展示場でよく目にする、主に工場で造られる住宅です。(プレハブでないところもあります)

時間
主に既製品と決められた工法の組み合せで作られるので、手間はかからず完成は比較的早いと思われます。

コスト
基本的なプランは比較的安価で、結婚式と同じようにオプションをいろいろつけるとかなり高くつくようです。
またパーツに規格の寸法がある場合が多いので、建坪率ギリギリに合わせて建てるということが難しかったり、狭小地や変型した土地などには建てられないというケースもあります。
それと、モデルハウスはお客様の目をひくための特注品であることが多く、細かい仕事を想定していない住宅メーカーでは非常に高価な場合が多いので、いくらモデルハウスを気に入ったとしても、その建物自体の価格を確認した方がいいでしょう。
同じように、ちょっとした工事内容の変更も規格から外れてしまうと、特注扱いで急に価格が高くなることも多いようです。
メーカーによっては嫌がるところもあると思いますが、事前に見積明細書を出してもらうと、どんな材料でどんな工事をいくらでしているのかなどもチェックしやすく、不明瞭な追加金を請求された時にも対処しやすいと思います。

性能
大手になると信用問題もあるでしょうし、工場生産品のため寸法安定性が高く比較的安心と思われます。ただし、実際には無難な仕事しかしない地元の工務店(下請け)が施工することが多く、場合によっては腕の悪い大工さんが施工することもあるので、その辺りは注意が必要です。

デザイン
不特定多数に売れそうなものを造るため、その時々に合った最大公約数的な建物であり、日本人の要望の平均的な建物を望む人にはいいと思います。
ただ、人それぞれの生活スタイルや土地柄などを考慮して一つ一つ造った建物ではないため、この日本の風景が画一的で趣のないものになってしまった原因は、ここにも大きくあるような気がします。

住宅展示場やパンフレットで提供されたものの中から選ぶだけではなく、自分の人生をおくる場がそれでいいのかなど、いろいろな可能性を考えて検討してみることをお勧めします。

自分の希望と上手く合うようでしたら、コストはそれなりにかかると思いますが、ハズレの少ない建物だと思います。

工務店の設計施工

普通の建物でいいけれど、間取りなどはこだわりたい人にお勧めします。

工務店に直接設計と施工を依頼して、家を建ててもらうケースです。
設計と施工が同一の利害関係にあるので、工務店の利益重視の動きになりがちですが、

時間
何もないところから話をはじめるので、時間はそれなりにかかると思います。

コスト
悪徳業者から一流の工務店やスーパーゼネコンまで施工業者により様々だと思います。
人がいいからとか近所だからといって安心せず、この場合も自分でいろいろ調べましょう。
また、あまり大きな工務店ですと別の小さな工務店に投げてしてしまい、経費が余計にかかってしまうこともあるので、注意が必要です。
実際に施工する工務店を狙って頼むとコスト的には安く上がると思います。

性能
志の高い良心的な工務店でしたら、その土地ならではの気候風土を考えて建物を造ると思いますので、比較的安心だと思います。
また、地元密着型であるケースが多いので、ご近所付き合い感覚でメンテナンスをお願いしやすいかと思います。
大工さんの感覚だけで昔からのやり方を貫くところは、細かい納まりが適当になってしまったり、現代の耐震性がとれていない場合もありますので、威勢がいいからといって安心はしないで、確かめることをお勧めします。

デザイン
設計をメインにしている会社ではないですが、適切な工事をする良心的な工務店でデザイン的にも気に入る物でしたら、住宅メーカーよりもいろいろ細かい要望にも対応してくれると思います。

いい工務店と巡り合えて、そこが設計施工した建物が気に入る物であれば、工務店に直接頼むのもいいと思います。

設計事務所
注文住宅

デザインや間取り、住まい方など、いろいろ建物にこだわりたい人にお勧めします。

設計を主な仕事にしている事務所に設計を依頼し、施工は設計事務所とは別の適した工務店でお願いするのが設計事務所による住宅で、私達の事務所で建てる場合はここにあてはまります。

個人の料理店のように、目の届く範囲でやっている小さい店や、多くの従業員を抱えて支店も出しているお店、官公庁の食堂のようなお店や、ある特定の種類が得意なお店、話題性に気を取られて肝心な味がすぐ飽きてしまうお店など本当に様々ですが、もともと利益第一ではなく理想の建築をつくるためにわざわざ独立しているところが多いと思うので、その中から自分の好みや夢に近いところを探して、お話を聞いてみたり評判を探るといいと思います。

時間
希望を聞いてから設計をはじめることが多いですし、キッチンや浴室なども製作で造ることが多いので、一般的にはハウスメーカーの住宅より時間がかかると思います。

コスト
設計事務所の場合は設計・監理料が工事費とは別にかかってしまいますが、メーカーや工務店の家などでは目に見えなかったものが目に見える形になって出てくるだけであり、工事の見積内容を設計者がチェックしてコスト管理をすることで、同じコストでもいいものができる可能性は大いにあります。
ただ、設計者によっては設計料が高かったり、細かい変更でいちいち設計料を請求するところもありますし、デザインのための建設コストが大幅にかかる場合があります。

性能
設計者の方針や設計能力、施工を依頼する工務店の能力により大きく異なります。
完成時にいくら格好良くても、繊細すぎてはかない建物かもしれませんし、断熱性に乏しく過酷な建物であったり、光熱費やメンテナンス費用がとてもかかってしまったり、間取り的に使い続けられないこともあり、設計者の考え方が大きく関係してきます。

デザイン
設計の大きな要素の一つにデザインがあり、それを極めたいと思っている事務所は多いので、事務所によりますが、デザイン力は比較的高いといえます。
また、クライアントの生活スタイルや要望、街並や環境に合わせ、設計者の思想によって一つ一つ設計していくので、特徴のある建物になりやすいと思います。
事務所によって個性が大きく異なるので、自分と感覚的に合うデザインをするところを選ぶといいと思います。

センスが非常に悪かったり、話が全然噛み合わなかったり、施主の意見をあまり聞かなかったり、細かい説明もせずにどんどん作業を進めてしまうところもあるので、その建築家や事務所の作品のデザインが納得できる物なのか、耐久性や耐候性があるのか(数年後の状態を見るなど竣工写真だけで判断しない方がよい)、コストは適性かなどを事前によく調べることをお勧めします。(そのような事務所に頼んでしまい困っているとの相談を受けることが多々あります)
もちろん、その設計者や作品に惚れ込んだので、いちいち細かいことは言わないから信頼してお任せする!という奇特な依頼もアリですが、その場合はあとから不満を言わないようにしましょう!

施主・設計・施工がそれぞれ意見を出し合って家を作るので、いい事務所と組めばとてもバランスのとれた建物が出来ると思いますが、悪い事務所に頼んでしまうと悲惨な結果になりかねません。
有名だからとか、人の紹介だからなどといって安易に決めず、設計事務所選びも慎重にしましょう。

いい設計事務所や工務店と組んで建物を建てることができれば、家づくりも楽しいですし、とてもいい家ができると思います。


家は人生の中で非常に高価で大きな買い物です

ただ与えられた情報の中から選ぶだけではなく
新しい家でどのような暮らしをしたいのか
自分の人生をどうしていきたいのかをしっかり考えて
その夢を実現させるために適した方法を自分で探し
あとで後悔しないように納得のいく家造りをしていただけたらと思います



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東京都港区北青山の建築設計事務所・村上建築設計室