写真集「SUGAR WORKS ANTIQUE」について


 



時間を止める魔法の花

2008年、
故ダイアナ妃のウエディングケーキのほんの一切れが
オークションにかけられ、1200ポンドで落札された
というニュースが世界に配信されました。
四半世紀を越えても保存可能なケーキとはどんなものだろう。
食べ物であって、宝物としての価値を持つとは、どういうことなのか。
このニュースに、想像力をかきたてられた方も多いことでしょう。

シュガークラフトは、
アートフラワーや、
イギリスでいえば、エインズレイに代表される陶花などの
クラフト作りに似た製菓技法で、
大掴みに説明してしまえば、
粉砂糖を卵白などをつなぎにして加工し、
食用色素で着色したものです。
砂糖には賞味期限はありませんから、
環境に気をつければ長いこと保存できるのです。
イギリス式のウエディングケーキは、
保存の効くフルーツケーキにマジパンをかぶせ、
その上から砂糖でくるみ、
シュガークラフトの装飾を施したもので、保存がきくため、
80年代のケーキが現存する、ということもあるわけなのです。

この本に載っている花の
花びらや葉の一枚一枚、それが載っているお皿や花器など、
すべて砂糖でできた作品です。
消えものである花を、これもまた消えものである砂糖で作る。
時間を止める魔法のような技法といえないでしょうか。
作家の綾部加代子さんは、
平成元年に、展示会でシュガークラフトの魅力に出会い、
今田美奈子さんの教室を卒業後、本場であるイギリスで勉強され、
日々研鑽を重ねて来られました。
砂糖特有の甘やかな質感と柔らかな透け感。
そして優しい色合いでかたちづくられた優雅で愛らしい花たち。
この写真集で、砂糖の持つ可能性と
シュガークラフトの奥深さについて、
ご納得いただけることでしょう。



   
 図書出版のぶ工房/発行人  遠藤順子

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