死亡原因


テーマ「死亡原因」


キーワード「死亡原因のトップは、がんではなく怠慢・後回し癖だ」



――今日のテーマを「死亡原因」とされたのはどういうきっかけですか。



渋瀬 住宅金融公庫からお金を借りていた人が自殺して、その家族の方が私の事務所に相談に来られたのがきっかけです。その際に住宅ローンを抱えて自殺する人の割合がどの程度かなと思って、住宅ローン関係の団信と略称される団体生命保険のホームページなどを調べてみました。
 ところで、縄田さん〔聞き手〕は死亡原因のトップは何であるかご存じですか。


――がんだと聞いています。


渋瀬 そうですね。厚生労働省が平成14年の人口動態統計のデータ〔平成15年のデータはhttp://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai03/deth.html厚生労働省ホームページへ〕として発表しているところによりますと、やはり、がんで死ぬ人が1番多く、2番目に多い心臓の病気や、3番目に多い脳や血管の病気の2倍も多くがんで亡くなっていますね。


主な死因別死亡数の割合(平成14年)

厚生労働省ホームページ 人口動態統計月報(概数)から転載



――では、死亡原因のトップは、やはり、がんということになりますね。


渋瀬 日本全体でみれば確かにそうなんです。でも若い人でもそうなのかなと思って、厚生労働省発表の人口動態統計をよく見てみますと、年齢別ではまったく順序が違っていました。


――と言いますと


渋瀬 グラフを見てください。このグラフは、特徴がよく分かりますね。1番左の薄い水色〔〕が、がんによる死亡の割合を表しています。何歳ぐらいが多いかが、よく分かりますね。細かく見てみますと10歳代の男女では、
真ん中の白色〔〕の事故死が死亡原因のトップです。そして20歳代の男女になると、緑色〔〕の自殺が死亡原因のトップなのです。次に30歳代になると、男性の死亡原因のトップは、20歳代と同じく緑色〔〕の自殺なのですが、女性の死亡原因のトップは、薄い水色〔〕のがんになるというふうに、順位が別になります。


性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合(平成14年)



厚生労働省ホームページ 人口動態統計月報(概数)から転載 



 男性女性で、少しずつ違いますね。


――ということは、死亡原因のトップは、年齢や男女によって違うということになりますね。



渋瀬 そうですね。10歳代の死亡原因のトップである事故死を減らすにはどうしたらいいのかを考えてみますと、参考になる法則があります。事故のなかでも仕事中の事故、労働災害を調べていて発見された1:29:300のヒヤリハットの法則です。この法則の意味はヒヤリとするような300の出来事が起こる間には、29の軽い傷を負うような事故が起こっており、
そんなことが起こるままにして対策をとらずにいると、1件の死亡事故が起こるというものです。ですから、10歳代の死亡事故が起こらないようにするためには10歳代の人が、ヒヤリ、ハッとするようなことが起こらないようにする必要がありますね。


――以前、お話いただきましたね。


渋瀬 そうですね。今の話の、ヒヤリとか、ハッとすることがないようにするには、具体的にはどうしたらいいのか考えてみました。そのためには、日頃何度となく感じている「ここはこうした方が子供にとっていいのにな」とか「こうしたほうが安全だ」というような程度のちょっとした改善活動を実行する必要があることに気づきますよね。でも、そんなちょっとした改善というのはついつい後回しになってなかなか実行しませんよね。


――そうですね。


渋瀬 こうしたちょっとした改善とか注意が行われていないから、10歳代の事故死につながっているのだと、私は思っています。
 では、20歳代の自殺を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。


――自分の周りの人を観察して、少しでも変なところが見えたら、相談に乗ってあげるとか、話を聴いてあげるというようなことでも、自殺が防げると思うのですが。


渋瀬 そうですね。「聴く」ということは誰でもできそうですよね。でも自殺を防ぐため・トラブルを解決するために「聴く」となると、 「耳を傾けて聴く」必要があるのですが、この「耳を傾けて聴く」ということには、実は「聴く」技術のようなものがあり、九州大学などで、その訓練を受けることができます。来年早々には私も訓練を受けて、若い人の悩みをしっかり聴いてあげて、自殺する人を1人でも減らしたいと思っています。


――20歳代では自殺がトップですが、年齢が高くなると、死亡原因のトップにがんが出てくるのですね。


渋瀬 がんは、30歳代から上の女性と、40歳代から上の男性で死亡原因のトップになります。では、がんを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。


――がんの予防検診を受けることではないでしょうか。


渋瀬 早期発見、早期治療のためには、予防検診を受けたいものですね。
 ところが日本全体の死亡原因で見ても、がんが1番多いということは、これはどういうことなのでしょうか。


――自分だけは、がんに罹らないと思っているからなのでしょうか。


渋瀬 とすると、予防検診にはなかなか行かないということになりますね。


――痛くなったりしたら、病院に行くでしょうが。


渋瀬 そうですね。さて、ここで考えてみましょう。死亡原因のトップは、10歳代では突然の事故死、20歳代では自殺、そして30歳代以上ではがんとなっています。原因はそれぞれ違うように見えますが、私の目には実は同じではないかと思えるんですよね。


――と言いますと。


渋瀬 思い立っても改善しないから事故につながる。変化に気がついてもじっくりと話を聴いてあげていないうちに、自殺してしまう。
面倒くさがって予防検診に行かないうちに、倒れてしまう。つまりこれらには共通していることがあって、それは怠け癖つまり「怠慢」だということですし、「後回し」にする癖だということです。これが、死亡原因のトップではないかと思うのです。


――そうですね。私もそう思います。


渋瀬 身体の調子がいつもと違うと感じたら、納得がいくまで最低3ヶ所の病院に行って、検査してもらうしつこさが必要でしょう。一方、身体の調子ではなく、経済的な問題や、家庭問題、お隣ご近所の困りごとで悩むことが起こった場合には、ただちに山口県行政書士会の無料相談会などを利用して、悩んでいる本人ではなかなかできない問題点の整理を他人である専門家にしてもらうことが、「後回し」「怠慢」を避けることにつながると思いますので、無料相談会を積極的にご利用されることをお勧めしたいですね。


――渋瀬さんありがとうございました。今日は「死亡原因」について、「死亡原因のトップは、がんではなく怠慢・後回し癖だ」ということで、行政書士の渋瀬清治さんにお話をお聞きしました。


(平成16年12月17日放送)